第11章

18/35
前へ
/35ページ
次へ
夕べ間違いなじゃなかったら 子守唄を聞いたんだ。 キミがオレをずっと見てたって。 優しい優しい子守唄。 幸せな気持ちってあーゆーの? 「オレが欲しい?」 部屋の温度は快適。 冷たかった遠野さんも、もうぬっくぬく。 オレのはもっと熱いよ? コクン、と頷く遠野さん。 可愛すぎて、倒れる、オレ…… 「素直な子は大好き」 また、唇に触れて 離れて、触れて。 「だけど、まだあげないよ?」 瞳の中が膨らむ。 動揺と、ショックと、恥ずかしさで頬の色づきが 増す。 「後でね」 「ん……」 今は、キスだけで我慢して。 いや、我慢させて。 後で、我慢出来ないくらいにするから。 いや、きっとなるから。 これ以上はヤバい、と思ったところで 遠野さんを解放してシャワーに向かう。 せっかくの休みだから陽の高いうちに出来る事を 先にしとこう? きっと全身ウルウルになった遠野さんを想像して そこでちょっとした事に気付いた。 「……あ、れ?」 シャワーを頭から被りながら 時間が止まる。 ふと感じただけ、だけど…… そして同時に夕べの堺との電話を思い起こしていた。 やっぱり、ゆっくりしてらんねー、かも。 そんな風に思いながら 暫く流れる滴を見つめた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

356人が本棚に入れています
本棚に追加