第11章

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このスコアを見て、オレ達をただのカレカノだと 思う奴はいないだろう。 「やるねぇ」 「……新城さんこそ」 「オレ、苦手だなんて言ってないし」 「……そうですね」 どうやら遠野さんは本格的に結構自信があったようだ。 「次、遠野さん」 「……っ」 黒いリボンか 黒白半分三角か 画面に並ぶのはそれしかなくて そんなに迫力がなくても ちゃんと真ん中を狙って放り出される遠野さんの 紅いボール どうすればいい? オレが勝ったら機嫌損ねちゃう? 昔さ、よく遊んだよボーリング だから決して下手じゃないんだよね? 振り向いた遠野さんの悔しそうな顔が オレには新鮮で こんなところでも出てしまう。 横に座った遠野さん オレを見上げて 新城さんのバカ、と小さく呟いたその唇に 戸惑う事なく自分のを寄せる。 「さ、次、何して遊ぶ?」 戸惑ったのは遠野さん。 こんな公衆の面前で あぁ、前もあったよね? あの、映画の後。 キミに機嫌損ねられると色んな事が楽しくなくなるから オレはボールを片付ける為に席を立ち上がる。 遠野さんも着いてくるのは とてもかわいらしくて 直ぐに空いた手同士を繋いだ。 「次、卓球しましょう!」 「卓球……、まぁ、いいかな」 「ロデオは!?」 「ダメ」 「え」 「ダメだよ」 「じゃ、ポケバイ!」 「絶対ダメ!」
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