第11章

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「どーも。 ちょっとイイ?」 もうちょっと歓迎してくれたら、どぉ?的な 雰囲気なんだけど。 四賀は所謂無表情。 「もう帰るんだけど」 「あー、じゃあ、手短に」 あからさまに舌打ちをして スマホをポケットに納めた四賀は 腕時計を確認する。 ホントに急いでんだったらわりぃから、じゃあ早速。 「お前さ、木本さんとツルんでんだって? 木本さんから聞いたよ 手土産もちゃんとプレゼントしたみたいだしな 調子いーじゃん。 木本事務所にいつでもコイ、ってさ」 「……」 「何か言うことねーの?……四賀」 あくまでも黙秘するつもりなのか。 目の前の男は当然オレの方を見もしない。 「新城、すっかりデザイナー気取りだな」 口を開いたかと思えば、何を言い出すんだ。 アホか、こいつ。 「全く胸くそ悪い」 「なんだ、四賀……本音はそこか」 はぁ? 首を傾げてオレを見たのはあからさまな嫌悪。 「全くの素人のオレが、社内グランプリとったから まさかの嫉妬?」 口角だけに笑いを乗せて 「たった、それだけの事で 会社、平気で売れるんだな、四賀 それに、……女も」 意味、分かる? そう付け加えると 四賀は眉を潜めてオレを見上げた。 「小川先生とこの次男 あいつはもうダメだよ?」 オレの遠野さんに犯した罪を償ってもらうから。 お前にも。
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