第11章

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「……オレが何をしてるって?」 「やっぱり全ては…………」 「新城、お前は本当に厄介なヤツだな」 パサリと舞うようにテーブルの上でたわむ資料。 その開かれたページには 日本、を活かす、憩いと楽しみの場。 木と漆、そして華やかさと落ち着きを施した休み処を デザインしたそれが描かれていた。 「……数字に強いと、ここまで曲線を細かく計算して 建てる事ができるんだな」 部長がテーブルの上の 自分の手元から離れた紙を見ながら目を細めた。 「数学ってのはさ何にでも応用できるもんだな まぁ、その点では建築も理系だからな オレも、苦手ではない」 背凭れに身体を預けた部長が細めた目をいつもの 鋭さに切り替えた。 「新城、オレも四賀の言う事が分かるよ お前がこの会社にいる事が目障りだって、な」 「三木部長」 「なんだ」 「三木部長はご存知だったんですか」 「何を?」 しらばっくれているんじゃない。 オレに言わせようとしているんだと、気付いた。 「遠野さんの事です」 「……知っていた、と言ったらどうする」 「別に」 「デキル男は心も広いのか」 「そういう訳ではありません」 部長の目がギラリと光る。 今まで見た中でも、最高ランクの鋭さだと思った。 「自分の彼女が…… 半分血の繋がりがあった男にヤられてた事を 見て見ぬフリが出来るんだな」
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