第11章

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「はっ!泣いて悦んでたんだぞ!あんなに濡らし」 ‘ガゴン’ 機嫌を損ねるだけじゃすまなくなりそうだ。 「ナイテ、ヨロコンデるように見えたのは てめぇらヤッてる方の色目だ」 ぶちギレってゆーのな、こういうの。 「濡れんのは人間の生理的反応だ 犯してる方は都合のいいようにとるんだよ」 頭の中が沸騰する。 「嫌がってたんだよ お前らのナニを」 気が付いた時にはもう四賀の目の前で 有難い事にオレは四賀よりも背が高い。 見下ろすには都合がイイ。 「言葉で煽って 泣き叫ぶ姿を、善がってるとすり替えて 倒錯的な快楽を植え付けた ただ、それだけだろ」 「……ぐっ」 「なに、苦しそうな顔してんの?」 オレが掴んだシャツの襟首とネクタイが 皺になり、その部分を縮めているからだろうか。 「もっと苦しかったと思うよ?」 「……ク」 「遠野さん」 布がキュ、と音を立てた。 それくらい握りしめた力は強かったのか。
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