第11章

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「マジ善がりかどうかも分かんないなんて よっぽどお粗末なパフォーマンスだったんだな」 掴んだ襟をパっ、と解放する。 「……お前に言ったってムダか、せっこい事しか出来ないんだからなどーせ」 本当なら、ボコボコにしてやりたいのが当たり前。 だけど、仕方ない。 「辞めんなら会社にこれ以上迷惑かけんなよ それから」 ケホ、と小さく喉を詰まらせている四賀に 「岡田さんの事もちゃんとシロ」 そう告げると、机についた掌をギュ、と握る。 「彼女の事、ちゃんと見てやれよ」 握りしめられた拳は、フルフルと震えていて 口元が歪んでいるのは、きっとオレなんかに 言われる事の屈辱。 だけど、言い返せないだろ? そりゃ、そうだろう。 ここで何言っても言い訳 更には負け惜しみ それ以上でも以下でもない。 四賀はこの2日後に辞表を提出する事になった。 勿論、公な謝罪もなく 当然、それは遠野さんにも同じ事で。 そして木本事務所への連絡も。 今、目の前で淡々とPCを叩き続ける岡田さんは いつもと同じように振る舞ってはいるが 本当のところ、どうなっているのかは まだ、オレは知らない。 ま、知る必要も、ないけど。
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