第12章

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「お袋のようにはなりたくない、ってな」 人間は常に誰かの所為にしたがる生き物だ。 それは幼い頃は特に感情の赴くまま そして、歳を追う毎にズル賢く変化する。 時にはそうする事で底力を出せたり 出来なかった事を成し遂げたりもする。 「彼女は可哀想だった、いつまでも手にする事のできない 遠野卓也を想い、眠りつくその日までヤツを辿ったんだから かえって尊敬する、遠野卓也の何がそんなに良かったんだろうかってな」 凄いよな? 純愛だろ? ポツリと呟きを付け足して 会議室の白い天井を見上げた。 「事故の事を興信所伝いで調べてもらい、八雲社長の事を知った。 男なんてみんな似たような事をそこかしこで犯してる 事実に笑ったよ」 「だから、八雲も木本さんも、遠野さんも絡んでる ここで全部丸め込んでしまおうと思ったんですか」 「人聞き悪いなぁ、新城」 あまり見た事のない部長の笑顔が さっきからチラチラと炸裂する。 「建築を希望したのはまぁ、一理にはなるかもしれないが 八雲に入ったのも、ここでこうしてるのも 巡り合わせだよ」 八雲も木本さんも遠野さんも関係ないとしたら もう決まってね? あんたがワザワザ こんな事をする理由。
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