第12章

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「新城、ホントに厄介だ お前がいなかったら、結構ウマク事が運んだのにな」 「やっぱり、ですか」 「ここのセキュリティもお前がかけてると知ってな」 「だからってあんな下手くそに攻めなくても」 「自信あるんだけどね、忍び込むのも、壊すのも。 なんせ、遠野卓也の血を引いてるからね 皮肉だが……」 自分が蔑んだ男から分けてもらった遺伝情報が 役に立つのが皮肉って事か…… 「部長がオレを嫌いだと言うのはよく分かりました」 「そりゃよかった」 「部長は木本さんの一件に紛れて オレを飛ばそうと思ってただけ」 「そう」 当て外れ、だったけどな。 笑いながらオレを見た部長に ちょっとだけ込み上げた怒り。 「遠野さんには伝えないですよね?勿論」 「あ?」 「ご自分が兄だって」 「あー」 込み上げた怒り、という感情が それを超えてしまった時 人は 人間はどうなるんだろう。 部長がソファに座り直して 今度は肘を自分の膝の上についた。 口元が組んだ掌で隠される。 「さっき、遠野とそんな話になってな」 は? 「だから、流れで話したら 驚いてたな?」 は? 今、なんつった?
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