第14章 幸せ過ぎて……

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「……う、ん……」 キスで目覚めさせるなんて、王子ってガラじゃないけど ちょっとイイ気分。 「んーーー」 薄く視覚を覗かせる。 まだ、夢に揺られているからハッキリとは 掴めないだろ? ジュル、と啜ったのは どっちのモノかは分からないが多分オレの。 小さな口の中。 ここに、考えられないくらい規格のモノが よく収まるもんだな、と。 今さらだろ。 かなりエグい事をさせてるだろ? 今さら、言うなよ。 綺麗に並んだ歯と 上唇の隙間に、舌を忍ばせそこを擦(サス)ると お姫様は驚くどころか、ソコに自分のを重ねてきた。 舌の裏側に入り込んだそれは小帯をチロチロと撫で オレを誘う。 こんな事をして 止まらなかったら どう、責任とってくれんの? なぁ。 遠野さん。 どんどん深く入り込んでいくのは もう、舌どころの話じゃない。 軽い気持ちが、その気に変わり その気がヤル気に芽吹く前に 甘い誘惑から離れた。 「起きた?」 起き抜けでこうなっているのか それとも、スイッチ入っちゃって こんな風なのか。 「……どうしよぅ新城さん……」 可愛いのと妖艶なのは裏表なんだ、と たった今、気付いた。 何も知りません、そんなイメージを抱かせる可愛らしさは 瞳が湿ってレンズに光が揺れ 唇がその紅さを増すと淫らな欲を惹き付ける術(スベ)になる。
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