第14章 幸せ過ぎて……

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ぶっすぅ、とした遠野さんがオレの隣に座っているのが おっかしくて、おかしくて 「ごめん、今の今まで忘れてたよ」 「……そうですかー」 全くふてぶてしく棒読みな返事。 「大学の頃に2、3度お目にかかった事があってさ」 「……ふーん」 ぶっ、は! 遠野さん、妊娠してからキャラが変わったよね? と、思うくらいで まぁ、それはそれで、また嬉しいギャップ過ぎて オレにしてみれば色んな意味で有難い。 「いやぁ、新城くんて、キミかぁ」 目の前に座る伯父さんと伯母さん。 と オマケの専務。 「何よ、アンタ お父様、お母様、気をつけて! この見てくれ笑顔に騙されちゃ、だめだからっ」 「アンタが一番怪しいわよ」 「なっ!」 母親に、そう制されて またまた、固まる専務。 煩いのが、黙ったところで本題にはいろうか。 「今日は忙しいところ、急にお邪魔させていただき 申し訳ありません」 「ほんと、年の瀬に迷惑よ」 「おにいちゃん……」 ……これ、いちいち合いの手、入んのか? 「悠さんとお付き合いをさせていただいて 約2年になります」 「まぁ、そんなに」 伯母さんの問いに、少し頷いて 「もちろん、将来を考えて付き合ってきたつもりです」 伯父さんと伯母さんを ゆっくりと見て 「今日は悠さんとの結婚にお許しを頂きたく、伺いました」 そう、言ってから頭を下げた。 「まぁまぁ、悠ちゃん、よかったわねぇ」 「……複雑だ 悠も嫁に行く日がくるのか……」 ニコニコと微笑んむ伯母さんと 眉を寄せる伯父さんと 「それから、もうひとつ 悠さんは現在、妊娠9週目です」 「あらっ!」 「なっ!」 伯父さんのリアクションが 専務とダブって、危うく吹き出すかと、思った。 リビングの空気がピン、と張りつめたところで 流石に笑えないだろ。
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