第14章 幸せ過ぎて……

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「まぁ、悠ちゃん!そうなの!」 キラキラと輝き出す伯母さんに 「……!」 絶句したままの伯父さん。 「……昨日ね、病院に行ったばかりで 新城さんと、ね?」 遠野さんが、胸キュン笑顔でオレに微笑むもんだから ちょっとあらゆるリミッターが振り切れんばかりになる。 「あっぢーーーーーーっっ」 「あなた、もぅっ!落ち着いてっ!」 ガタンガタン、と目の前の茶碗がテーブルの上で クルクルと回る。 伯父さんが慌てて飲んだお茶が 思いの外熱かったんだろう。 隣で専務が小さく吹き出した。 いやいや、アンタさ 笑ってるけど、全くおんなじだからね? 親子なんだなぁ、と感心する。 「伯父さん、伯母さんには ご心配をお掛けする形となってしまい申し訳なく思っています。 悠さんにも……普段とは違うからだの変化に戸惑いながら 仕事を続けさせる事になる事も きっと、物凄く大変な思いをさせているんだろうと……」 遠野さんを見ると 首をゆっくりと左右に振る。 また、視線を正面へ戻して 「ですが、もしかしたら悠さんが妊娠しているかも しれない、と思った時、不謹慎ですがとても嬉しかったんです。 昨日も、命の神秘を目の当たりにして 感動しました」 目の前の二人は変わらない。 伯母さんはにこりと微笑み 伯父さんは固まったまま。 そして、専務が テーブルのどこか一点を見ながら 目を細め、口角をあげていた。 「至らなさはじゅうぶん承知しています 悠さんと これから繋がっていく家族を守る役目を 任せて頂けないでしょうか」 落ち着いていた。 余りの落ち着きようで、ビックリするくらいだ。
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