第16章 紡がれる生命の神秘

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そして一番厄介なのは ナカの熱さ…… 「っ、悠、力、抜いて」 「んっ、」 薄い帽子だと 直ぐにもぎ取られそうになる。 「……ココまで、な?」 本当は総て埋まってしまいたい。 だけど、ベビーベッドを壊しかねないから そんな事をした日には 出てきてから絶対恨まれる。 とーちゃん、人の睡眠邪魔すんなよ、って。 「あー、きっつぃ」 悠に挿し込んだ自分を見て、脳ミソが一層愉しげな物質をばら蒔き あっという間に身体の隅々にまで運ばれるソレが よからぬ事を企もうとする。 「ああああ」 首を振り、正に悶絶する彼女が目の前で 神秘の身体を奮わせる。 今日も、最高傑作だ。 「もう、おしまいにしよ、うな?」 実に惜しい話だが そんなに長くはシていられない。 敏感にズクズクと締め上げてくるその震えが 不規則で規則的な圧縮を起こし 脱力を見届けて 感覚で、達する。 「ぁぁ」 やけに色っぽい息が出た。 後ろから被さって大きなお腹を撫でる。 「……痛くない? 張ったりしてない?」 「……ふ」 まだ、息の整わない母の変わりに、ベビーが応えた。 それは確かに足だろ? と、思わせるような形の硬いものを オレの掌に当て 「大丈夫だって、こいつ」 親バカ炸裂。 「気持ち、よかった……」 悠の、幸せそうな声が響いた。 「それは、それは」 抱き締めたひとつで二人ぶんの身体は 確かに温かくて 跳ねる鼓動、それさえも安らぎに変わった。 それくらい、幸せだ。
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