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「坊っちゃん!」
堺から滅多に出ない音を聞いた。
「ふっ、ぎゃあああああああ」
泣き出したのはもちろん亘。
「ちょっとアンタ達、亘ちゃんがビックリしちゃったじゃない!バカっ」
身体を立てて抱き直して背中をポンポンと叩きながら
「よしよし、煩かった、ビックリしたねぇ」
あやしながら部屋を抜けていく。
口許を覆いながらオレは手洗いへ駆け込んだ。
最近、よくこういう事が起こる。
その時の事が思い出されると突発的に起こる……なに?
発作?
衝動?
抵抗?
なんだ、いったい。
‘達さん、ごめ、なさぃ’
悠が倒れる前に呟いたのはその一言だけ。
何があったのか分からずに
異変を感じて、連れ込んだ病院。
軽い陣痛が起こっていると言われた
36週と4日の出来事。
意識を薄く開いたのはそのすぐ後。
「いたい、」
と、ポツリ言い、また沈んていく悠の手を握りながら
何があったんだ、と焦りと不安にヤられて直ぐ。
彼女は深い意識の底でも分かるような
凄まじい痛みに襲われた。
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