第16章 紡がれる生命の神秘

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目が寄ってる…… 一生懸命になるとこうなる癖。 「いや、可愛いなぁ、と思ってさ」 「もう!」 真面目に言ってるんですから!と 付け加えたりするところでさえ、寄ってる…… なんて愛しいんだ。 よくもまあ、こんなに可愛らしい子に 乱暴、狼藉を働けたもんだな。 いや、可愛らしいからか。 可愛らしいからこそ、勘違いするのか。 「オレはしないなぁ」 「え?何がです?」 ポッソリとした呟きに悠がわざわざ反応してくれる。 「何が?」 「え!」 すっとぼけて、きゅ、と手を引く帰り道 悠のボヤキを聞きながら はいはい、と何でも頷きながら歩く。 飽きないリアクションと その間に挟む、我が子への対応が チグハグで 可笑しくて 可笑しくて 「あ、蹴っ飛ばされた、なんで!」 「そりゃオレの意見に賛成なんだよ かーちゃん、間違ってるぜ、と言いたいんだ」 「そんな訳なーい!」 「分かってるねぇ、流石オレの子」 「えええええ」 こんな時、キミはきまって鼻メガネになって 多少間抜けな可愛さになっている。 この事をいつか伝えようと いつも思っていた。 ……伝えたい事は 思った時、直ぐに伝えるべきだ。 後で、なんて。 いつか、なんて…… どうしてそんな風に思ってしまったんだろうか。
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