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そして、キミは、やっとの事で
「しん、……さん、、」
音にする。
「どう」
微笑みながら。
「した、ん」
その目尻に、浮かぶ涙をハラリと溢して。
「ですか……」
どうした、じゃねぇよ。
マジで。
おい。
「悠」
「……ぃ」
「よく、頑張ったな」
大の男が涙を流すのはおかしいだろうか。
振り向いてそこかしこにいるナースに目を向ける。
忙しそうに動くにはそれなりに訳がある。
だから、選り好みしている訳ではないが
目に止まったのは、オレの子育ての先生。
「折原さんっ!」
彼女が夜勤でよかった、と
そう思った。
泣き顔極まりないオレの顔に驚きすぐさま駆け寄り
さらに、驚きながら
「新城さん!
新城 悠さん、わかりますか?」
悠にググ、と顔を近付けて
「ここ、病院です」
いつもより、少しだけ大きな声でそう言うと
腕時計と、モニターをチェックした後
「先生、呼んできます!」
今度は少しの笑みを携えてそう言った。
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