第17章 悠……

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「じゃあ、悠、そろそろ行くよ」 「わっ、わたるくぅぅぅん」 結局 上手くあやせなくて オレの抱っこで眠ってしまった息子に手を伸ばして 別れを惜しむ姿がなんとなく むかつく。 おい、オレにもそんな顔しやがれ。 ちょっと意地悪だが ふん、と背中をむけて 「ほら亘くん、悠ちゃんがバイバイって」 まだ生後1ヶ月、にょろにょろでくてくての生き物だ。 オレの肩でへべれけ状態で眠っているであろう 亘を見せてやる。 「あ」 悠が掠れた音を出した。 「なに」 「ヨダレ」 「あー、いつもの事 じゃあな、悠ちゃん 今のうちに休んどきな? 今日はおじさんおばさん、来るって言って!ぶっ!」 見てはいけないモノを見たかもしれない。 「ぶはははははははははっ」 まだICUに入っている悠。 ナースステーションの入り口でこっちを覗いている クネクネしたオカマが一匹。 「マンガだな、あのオッサン」 「あ、おにいちゃん」 そりゃあね 心配してたんだから、当たり前だわな。 こうなる事は分かってたさ。 だけどもさ 「ぶわっはははははははははははは」 か、顔、顔がっき、キモ過ぎる!
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