おわり

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どんなに考えても 家族として、妻として、そして女として 慈愛と尊敬は変わらない。 そして 半分ずつを身体に宿し、 別の個体としてこの世に誕生した彼にも 同じか、またはそれ以上に思いやりを持つ事も変わらない。 「だぁーーー」 専務のくれたライオンは 亘の気に入りで 「邪魔だけど、凄い威力よね?」 悠が笑った。 「悔しいけど、専務のチョイスは外れないからなぁ」 「あ、それ、思いました!」 お父さんとお母さんになるんじゃなくて いつまでも男と女でいたいオレとしては この関係がホントに善くて キスはいつでも 「んっ」 タッチも隙あらば 「っぁっ」 だけど 「んぎゃあ!」 ドスドスと歩き走り的なおかしな運動をする亘が 必ずやって来て 邪魔をする。 「ぱ、ぱ」 これは、パパ、じゃない事ぐらい分かってる。 「パッパイ」 =おっぱい、だろ? 悠のシャツを まだうまく使えない指と掌でメリメリと捲り上げようとする仕草。 何かに真剣になると 少しずつ舌が出てくる癖。 思うようにいかないと 「パゥ、ぱっぱいぃぃぃぃぃ」 と、唸るように低くなる声。 「かわいいいい」 悠が亘を抱き締めた。 ホントにかわいい。 見てるだけで癒されるこの感覚は 赤ちゃんが愛される為に備わっているモノなんだ。 こんなに 愛しく接する母が それを危険に晒す事なんて やっぱり考えられない。 いや、考えちゃ、ダメだろ。
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