おわり

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「悠」 「はい」 手を伸ばして抱き締めた小さな身体。 キミと亘が、オレの人生の中で一番大事な事には変わらない。 「これからも 元気で、オレの傍にいて」 もちろん、と呟き 背中に手を回す力強さを感じながら 肩に乗せた顎を脱力させた。 悠 可愛らしい、愛くるしい姿を魅せる癖に どこか妖しくて 目が離せなくなる。 腹を括ったつもりでいたが まだまだ甘かったな、と反省するよ。 互いの体温は柔らかく染み渡り 心地よくて、気持ちが凪いでいく。 テーブルの上の開けたままの図鑑に さっきの蝶々が目に留まった。 そして、妖しく微笑んだ悠のそれを理解する。 あぁ、そうか。 そうなのか。 悠。 今ならキミの顔が目に浮かぶ。 きっとキミはオレの背中で 満足と快感にワラっているんだろうな。 そして、宴は続く。 悠の欲も オレの欲も 激しく深く 「ねぇ、……もっと、もっとちょうだぃ……」 見上げれば括れた腰が楕円を描き その度に腹筋の美しさが浮かび上がる。 艶美。 何も甘くはなかった。 初めから、陥れられたのは オレの方だ。 やっとわかったよ。 だけどもう、離れられないのは分かっている。 一生、キミに喰われていく それでも、イイ。
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