第25章 騒動の余波

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「……それで?」 「今の話、月曜の話ですよね?」 「清々しい程の切れっぷりですね……」 「御乱心事件って……」  清人が連絡を絶って姿を消した週末の土曜日。状況確認と情報交換の為に、清香とその従兄達、聡に恭子の面々は、臨時休業の《くらた》に勢揃いした。  その中で友之、正彦、聡と恭子の四人は、浩一から月曜に真澄が玲子に当て擦られた挙げ句家出し、その余波で柏木産業内で勃発した騒ぎを聞かされ、揃って疲れた様に感想を述べる。それを聞いた浩一も、うんざりとした表情で説明を続けた。 「呼ばれて俺が姉さんの職場に駆け付けた時、姉さんが清川部長に『二千万逃しかけた位でガタガタ言ってんじゃねぇ! あくまでも女が仕事が出来ないってほざくなら、週末までに新規契約で三千万取ってやろうじゃねぇか!!』ってタンカを切ってて……」 「真澄さん……」 「幾ら何でもそれは無理だろう……」 「週末までって、実質金曜までの五日間ですよね?」 「どうなったんですか?」  呆れと好奇心が入り混じった口調で問われた浩一は、溜め息を吐いてから結果を伝えた。 「それを聞いた二課以外の全員は、無茶だと思っていたんだが……。金曜までに合計で、三千二百万超の新規契約締結にこぎつけた」 「マジ?」 「本当に規格外だな……」 「勘弁して下さい……」 「よほど真澄さんの怒りが凄かったんですね」  しみじみと評した恭子だったが、ここでふと気になった事を尋ねてみた。 「それで、真澄さんの部下の方達と、その清川部長って方は無事なんですか?」 「二課の人達は昨日、勤務時間が終了すると同時に揃って屍になっていましたが、一応大丈夫です。ですが清川部長が、昨日から音信不通で行方不明になっています」 「はぁ? 行方不明って、どうして」 「色々あって。詳細は聞かないで欲しい」 「……そうですか」  思わず口を挟んだ聡から目を逸らし、浩一が低い声音で懇願した。それで聡も、これ以上踏み込んではいけない内容だと悟る。そこで会話が途切れたのを契機に、今度は浩一が問を発した。 「それで……、まだ清人からの連絡は無いんですよね?」  それを受けて、恭子が小さく頷いて説明を始める。 「はい、姿を消した翌々日に、広島に出没したのは判明しましたが」 「広島?」  男達が揃って怪訝な顔をすると、恭子が説明を加えた。
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