第1章 発覚

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「そ、そうですよね? 気のせいですよね? やだなぁ、もう一人で空回りして……。皆、変なメールで呼びつけちゃって、本当にごめんなさいっ!!」  漸く安堵したらしく、聡や浩一達に向かって勢いよく頭を下げた清香に、皆鷹揚に笑って頷いた。 「いいって、気にしないで清香ちゃん」 「よっぽど怖かったんだね、その時の清人さん」 「もう災難としか言いようが無いな」 「本当に、その斎木って馬鹿のとばっちりだよな。もう忘れて忘れて」 「うん、そうするね」  そう言ってまだ幾分硬さが残る笑顔のまま、「気のせい気のせい、偶然偶然、偶々なんだからね、清香」と自分自身に言い聞かせながらグラスを傾けた清香に、何やら考え込んでいた浩一が声をかけた。
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