墓場まで逝きたくて

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「何とか言いなさいよ……なんて無理よね。そうだ、あの大きな木の裏にしましょう?」 私は大きな木の裏に行く。 「ごめんな。お前の骨、見つからなくて……」 そこには一人の男が名前を記した石の墓場にいた。 その石に記されたのは私の名前である。そしてそこにいたのは私の彼氏だった。 「これってどういうことなの?」 私は思わずつぶやいた。そして彼の肩に手をかける。 「待ってろよ。元妻に別れを告げるんだからそうすればこいつなんか気にせずに婚約届け出せるだろ、なぁ、朱美?」 朱美って誰よ? 「あれ?おかしいなぁ。誰かに触れられた気がするんだが……まぁ、いいか」 彼はそのまま話続ける。 「まさか骨がなくなってたとは思わなかったんだよ。同じテントを二つ用意して俺とお前が寝てたそのテントにお前の死体を包んで一年後の今日に掘り出したらなくてなぁ。そこでその時、刺したナイフとそのテントを埋めてあげたから感謝しろよ?」 感謝しろ? 待てよ?だとするとこの骨ってまさか……私の!? 思い出した。 刺そうとしたナイフが彼の手の妨害により私の胸に突き刺さったんだ。 確かにあれは事故だった。 でも彼が暴言や暴動するようになったのは彼に他の女が出来たからという噂が経ってからだ。 そうなると朱美という女はそれか。 なおさら彼には……。 「俺はお前のことが好きだったぜ」 共にここで死んでもらう。好きならなおさら。
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