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「琉聖くん、君が好きだよ」
「・・・っ・・ぅ、ひくっ・・・うぅ・・・」
本気で泣き出してしまった琉聖くんを抱き締めたまま、彼の背中をそっと何度も撫でる。
その涙は悲しい涙?それとも・・・嬉し涙ならいいのに。
勝手な俺のことを君は今も想ってくれているのかな・・・
「琉聖くん・・・俺のことどう思ってくれてる?」
しばらくして落ち着いてきた琉聖くんに彼の想いをどうしてもその口から聞きたくて、催促するように訊ねた。情けなくも声が少し震えてしまったのは、俺の不安の表れだ。
「・・・わかって、いるんでしょう?」
僕の腕の中に納まったまま、琉聖くんは小さく呟くように言った。
その言葉は僕の都合のいいように受け取っていいの?
でも・・・たとえそうだとしても、やっぱり俺は君の口から君の声でその言葉が欲しいんだ。
「わからないよ・・・言ってくれなきゃ、わからない」
「・・・・・・」
我儘を言う子供みたいな言い方をする俺に腕の中の琉聖くんは無言になってしまった。それが怖くて、琉聖くんの表情を確かめたくて彼の顔を覗くと、琉聖くんは涙に濡れた瞳で俺を見上げて、とても綺麗な笑顔を浮かべた。
「僕も・・・あなたが好きです」
「――――琉聖くんっ」
やっと聞けた俺の欲しかった言葉。
今までいろんな人から同じ言葉を聞いてきたけれど、それはまったく違う響きに聞こえた。こんなに心も体も震えるほど、歓喜に満ちた言葉を俺は知らない。
他の誰でもなく、琉聖くんが告げてくれた言葉だから。俺が本気で好きになった人からもらう言葉だから、こんなにも特別でこんなにも嬉しいんだ。
俺がずっと欲しかったのはこれだったんだと、やっとわかった。
俺を想ってくれる誰かが欲しかった。
でもそれは誰でもいいんじゃなくて、俺が心から欲しいと思う人だったんだ。
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