君色想い

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******** 「で、なんであんたはそんなことをわざわざ俺達に言いに来るんですか?」 琉聖くんに飴をもらってから数週間後、俺は久しぶりに撮影が一緒になったモデル仲間のジョーの控室を訪ねた。俺の話をとりあえず黙って聞いていた彼だが、聞き終わるともにすごく嫌そうな顔をして、刺々しく言い放った。 ジョーには相変わらず、嫌われちゃってるようだ。まあ、彼が俺を嫌うのは仕方ないことだと思うけど、もうそんなに警戒しなくても大丈夫なのに。以前、ジョーが世界一大切だと公言している彼の恋人にちょっかいをかけたことがあって、ジョーには散々嫌われてしまった。あの時はジョーとその恋人があんまり仲がいいので羨ましくて、ジョーじゃなくて俺のことをそんな風に想って欲しいなって自分勝手な言い分で彼の恋人に近づいたけれど、結局俺じゃ敵わないってすぐに悟ってそれ以後は二人の邪魔をするつもりはなくなった。ジョーの反応が面白いのと、彼の恋人がなかなか楽しい子だからつい揶揄っちゃったから余計に嫌がられてるんだけどね。 だからってそこまで嫌な顔をされるほどでもないと思うんだけどな。ジョーって普段は年下のわりに冷静沈着なくせに恋人のこととなると、キャラが一変しちゃうから面白いよね。 俺がそんな風に揶揄っちゃうからジョーから嫌がられるのか。 「智也、そんな刺々しないで。保科さんも面白がってニヤつかないで下さい」 ジョーの恋人、立花くんに二人して注意されちゃったよ。立花くんは可愛い顔してるのに、他人のことをよく見ていて、びっくりさせられることが多い。しかも意外とはっきり、スッキリした性格で、容赦なくバッサリ一刀両断されたりもして、そこがとっても魅力的な子だ。立花くんが呼んだ“智也”っていうのがジョーの本名らしいんだけど、立花くんもジョーのことが大好きで仕方ないって感じで、それを一切隠そうとしない。そういう意味では似たもの同士の二人がやっぱり羨ましい。もうジョーと立花くんの間に割って入ろうとは思わないけど、俺にも二人みたいな関係になれる誰かと出逢いたいな・・・
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