02. 殺害方法

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 野球少年の彼が教室から走り去っていった頃、僕の中の彼はすでに息絶え、ちょうどあの大きな目玉を刳りだされるところだった。もちろん僕の手によって。  彼と話をしている間、熱中してしまわない程度に僕は彼をいたぶっていた。  まずは背後から腰の辺りにナイフで一突き。  そのままの勢いで彼の身体を地面になぎ倒して仰向けにさせ、暴れる彼の上に馬乗りになると同時に胸部にも一突き。  小柄な彼の身体を僕の手によって服従させるのはなんとも容易い。  その頃にはもう、僕から見下ろす位置にいる彼は虫の息だった。  胸に刺さったままのナイフを見つめながら、まるで丘の上につくられたお墓みたいだと頭の片隅でぼんやりと思う。  そして馬乗りのままナイフの柄を右手でグッと握りしめると、そのまま腕を自分の方へ勢いよく引き寄せた。  ブチグチュ、となまものの音がして、ちょうどファスナーを開けるように彼の胴体は胸から腹まで左右に分かれる。  止めどなく溢れる血で先の見えないそこへ僕は左手を潜り込ませた。  まだ、温かい。  ふと顔を上げて彼の顔を確認する。そこには大きな目をこれでもかというほど見開き、同じく丸く開いた口からは血を溢れさせた生気のない顔があった。  それを見た僕は、彼の身体に埋まった左手をさらに奥へと押しこめた。  じんわりと、感じる温もり。  それは彼が確かに一瞬前まで生きていたのだという紛れもない証。  そして失われていく温もりが示すのは、僕が彼をこの手で終わらせたのだという紛れもない事実。  熱を帯びた高揚感が僕の肩や喉を震わせる。唇が痙攣して歪んだ隙間から吐息交じりの声が漏れた。 ――僕は、笑っていた。   
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