四章

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夕食まで暇になった式は、まず倉庫を見に行った。 「こんなところにあったのか」 式は倉庫を眺めた。 倉庫というよりは物置小屋と呼ぶべき大きさだ。ダイヤル式南京錠がかかっている。4ケタの1万通りなので、やみくもに試してみてもあきそうにない。 後ろを振り向くと、沖田たちの部屋の窓が見える。どの部屋もカーテンがかかっている。今気が付いたが、隣部屋との窓の距離は近く、うまくやれば地面に足をつける必要もなく渡れそうだ。 また、1階と2階の高さも短く、ロープなどを使えば簡単に上り下りできそうだ。 倉庫に行った後、式は娯楽施設に行ってみた。 式は時計を見てみた。5時20分。夕食までまだ時間がある。 暇だったので、誰かいないかと来てみたのだが、榊がいた。 「榊さん、こんなところで何やってるの?」 「さっききたときにちらっと見えたのでもしかしたらと思ったのですが、この碁石って高級な碁石なのですよ。だから一目見ておきたくて。ところで式くん暇ですか?」 「うん。夕食までやることもなくて…」 「だったら、先輩たちとコミュニケーションをとってみたらどうですか?」 「いや、今は榊さんと過ごそうかと思って…」 「そうですか。私はかまいませんが…娯楽施設にいるので、何かしましょうか」 「将棋なら少しだけできるけど」 「では将棋にしましょう」 二人で将棋を始めた。
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