一章

4/6
前へ
/40ページ
次へ
車の中では、先程話せなかったことについての会話が行われていた。 「そういえば、式くんの好きなミステリー作品って何?」 吉野が式に話しかける。 「えっと…俺、ミステリーとかよくわかんなくて」 「え?じゃあ何でこの合宿に参加したの?」 「隣の榊さんに誘われてきたんです」 式は榊をちらっと見る。 ちなみに席は8席あり、真ん中の3席に式、榊、吉野が座り、後ろに2年生の3人が乗っている。 「そうなんだ。榊さんはミステリー好きなのよね?」 「はい。私が一番好きなのは…」 そんな風に会話が始まってしまい、式は会話に混ざれなくなってしまう。後ろを見ても、3人とも会話に夢中だ。 「式くん、喋れなくなっちゃった?」 そんな式の様子を察してか、佐倉先生が話しかけてきた。 運転中なのに器用だな、と思いつつも少しほっとしていた。 「だったら、私とお話ししない?」 「別にいいですけど」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加