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車の中では、先程話せなかったことについての会話が行われていた。
「そういえば、式くんの好きなミステリー作品って何?」
吉野が式に話しかける。
「えっと…俺、ミステリーとかよくわかんなくて」
「え?じゃあ何でこの合宿に参加したの?」
「隣の榊さんに誘われてきたんです」
式は榊をちらっと見る。
ちなみに席は8席あり、真ん中の3席に式、榊、吉野が座り、後ろに2年生の3人が乗っている。
「そうなんだ。榊さんはミステリー好きなのよね?」
「はい。私が一番好きなのは…」
そんな風に会話が始まってしまい、式は会話に混ざれなくなってしまう。後ろを見ても、3人とも会話に夢中だ。
「式くん、喋れなくなっちゃった?」
そんな式の様子を察してか、佐倉先生が話しかけてきた。
運転中なのに器用だな、と思いつつも少しほっとしていた。
「だったら、私とお話ししない?」
「別にいいですけど」
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