一章

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「じゃあ聞きたいことがいくつかあるんだけど。まず、君は学校に来ない日は何をしているの?」 「特に何も。趣味とかもないし…寝てたりですかね」 「ふうん。じゃあ今回この合宿に行くときに両親に結構驚かれたんじゃない?」 「俺、両親いないですから」 「え?」 佐倉先生は驚く。 「中学生のときからずっと一人で暮らしているんです」 「一人で暮らしてるって…。生活費とかどうしてるの?」 「それは…ええと、お、親の保険金がまだ残ってるんですよ」 「じゃあ両親は事故とかで亡くなったということ?」 「まあ、そんなとこです」 と、式は若干しどろもどろになりながら語った。 「……」 佐倉先生は、少し怪しんでいるようだ。 (まずいな…、誤魔化せてないかも) と、式は冷や汗をかいた。 「なるほどね。君には何か事情があるみたいね」 何がなるほどなのかよくわからなかったが、とりあえずは誤魔化せたようだ。
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