二章

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「さっきのはよかったと思いますよ」 榊に話しかけられる。 「そうやって小さくても地道に積み重ねていけば、いつか必ずその経験が役立つときがきますから」 そう言って、榊は先に行ってしまった。 この後も旅館の中を見て回ったが、自動販売機や公衆電話などもなく、現代人にとっては結構不便な旅館であることに違いないが、たまにはこんな環境も悪くないな、という気にさせるような魅力はある。その最大の魅力はなんといっても多種多様な灯篭だ。紙灯篭の模様だけでも何十種類あり、部屋を暗くして電気をつけると幻想的な世界が広がってくる。夜になるとその何倍もの数の灯篭から明かりが放たれるとのことなので、式たちは夜が待ち遠しくなっていた。 旅館を一通り周り、昼食まで暇もできたので各自自由行動となった。 式は外にある灯篭を見に行った。
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