三章

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車から降りたときに少しだけ見たが、入り口前に無数ある竹灯篭はやはり不気味な雰囲気を漂わせていた。 石灯篭も多数あり、神社で見たことがあるようなものもあった。当然火はついていない。 式は旅館の近くにある大きな紙灯篭に近づいた。この紙灯篭は位置的には一番近い食堂から50mくらい離れているようだ。 式はこの紙灯篭が一番気になっていた。 この灯篭に明かりがついたらどんな姿になるのだろうか。そんなことを考えていた式に、 「やはり式くんもこの灯篭が気になっていましたか」 と、不意に声をかけられた。この声は榊だ。 「榊さん」 「私もこの灯篭が気になっていました。なので仲居さんに説明してもらおうと思い、お呼びしました」 「初めまして。私は角田と申します」 と仲居の角田さんは軽く自己紹介をした。 「お仕事中なのに大丈夫なんですか?」 式がそんな質問をすると、 「お客様のご質問にお答えしますのも仕事のうちですので」 と丁寧に答えてくれた。 「ではさっそくこの紙灯篭についてきいてもいいですか?」 「ええ。もちろんでございます」 「まず、この紙灯篭の大きさはどれくらいなんですか?」 「こちらは高さ1.8m、横幅105cm、台座の高さが30cm、横幅は同じく105cmとなっております」 式の予想は大体当たっていたようだ。
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