三章

6/10
前へ
/40ページ
次へ
食堂で食事をとった後に、旅館の好意により全員で紙灯篭の作成を体験した。社会科見学みたいだな、と式は思いながらも初めて自分の手でつくった紙灯篭をみて、結構いい出来なのではないか、と自画自賛していた。 体験学習の後に、旅館の近くにある森林にいくことになった。 森林には公園もあるので、食後の運動がてら散歩に行こうと神藤が言ったからだ。 「よし、じゃあそろそろ行こうか」 神藤の一言で、全員外に出た。 外では、角田が待っていた。 どうやら、角田が森林を案内してくれるようだ。 「では、よろしくお願いします」 「お任せください。では、ご案内いたします前に、先程式様と榊様にご説明しました内容を皆様にもご説明いたします」 そういって、角田は式と榊に話した灯篭と旅館についてみんなに説明した。 その説明を聞き終わった神藤が、 「うーむ、やはり噂は本当だったのか」 と呟いた。 「この旅館がなくなるなんて…悲しいな」 沖田が寂しそうに呟く。 「でも…私たちじゃどうしようもないし」 吉野も悲しそうだ。 「これはどうしようもないさ。今は悲しまないで楽しもうぜ」 神藤がみんなを元気づけようとする。 確かに、今楽しまないともったいない。悲しむのは後にしようと式は思った。 「じゃあそろそろいきましょう、角田さん」 「ではご案内いたします」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加