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式も、こんなに楽しくなるとは思わなかった。昨日は緊張して夜も眠れなかったくらいだ。
だが、同時に不安もある。それは、この旅館に初めてきたときに感じた言いようのない不安感だ。あれは気のせいだったのだろうか。
「式くんは、この合宿に来てよかったって思ってる?」
「はい。今は思ってます」
「そう、よかった。私も企画した甲斐があったわ」
佐倉先生はほっとした。
「このまま何もトラブルとか起きなければいいなって思ってます」
「そうね。何も起きなければいいけど…」
そういった佐倉先生の顔は曇っていた。
何か不安があるのだろうか。
式は、問おうとしたが、
「そろそろいきましょうか」
多目的広場で寝そべっていた神藤がそう言ってきたので、聞けなくなっ
てしまった。
「おーい。もう戻ろうぜ」
神藤がジョギングコースで走っている沖田と松田を呼びかける。
「はーい。わかりましたー」
沖田の返事が聞こえてくる。
しばらくして、二人が戻ってきた。
「いやー疲れた。こんなに走ったのは久々だよ」
「松田くん結構足はやいんだねー。さすがは元運動部だね」
「まあな。それより汗かいちまったし、風呂にでも入りたいな」
「あ、私も。角田さん、お風呂って何時から入れるんですか?」
「6時から入浴可能となっております。準備が5時から始まりますので、もうそろそろでございますね」
「うわー本当だ。すみません、こんなに待たせてしまって」
「いえ。では皆様旅館へもどりましょう」
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