三章

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式も、こんなに楽しくなるとは思わなかった。昨日は緊張して夜も眠れなかったくらいだ。 だが、同時に不安もある。それは、この旅館に初めてきたときに感じた言いようのない不安感だ。あれは気のせいだったのだろうか。 「式くんは、この合宿に来てよかったって思ってる?」 「はい。今は思ってます」 「そう、よかった。私も企画した甲斐があったわ」 佐倉先生はほっとした。 「このまま何もトラブルとか起きなければいいなって思ってます」 「そうね。何も起きなければいいけど…」 そういった佐倉先生の顔は曇っていた。 何か不安があるのだろうか。 式は、問おうとしたが、 「そろそろいきましょうか」 多目的広場で寝そべっていた神藤がそう言ってきたので、聞けなくなっ てしまった。 「おーい。もう戻ろうぜ」 神藤がジョギングコースで走っている沖田と松田を呼びかける。 「はーい。わかりましたー」 沖田の返事が聞こえてくる。 しばらくして、二人が戻ってきた。 「いやー疲れた。こんなに走ったのは久々だよ」 「松田くん結構足はやいんだねー。さすがは元運動部だね」 「まあな。それより汗かいちまったし、風呂にでも入りたいな」 「あ、私も。角田さん、お風呂って何時から入れるんですか?」 「6時から入浴可能となっております。準備が5時から始まりますので、もうそろそろでございますね」 「うわー本当だ。すみません、こんなに待たせてしまって」 「いえ。では皆様旅館へもどりましょう」
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