序章

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「それで話の続きですが、あなたには友達がいないということですよね。でも安心してください。その問題は私が解決して見せますから」 「どういうこと?」 「私がクラス委員になったのには理由があります。このクラス全員をまとめ、誰もが誰とでも仲良くする、そういったクラスをつくりたいと思いました。そのために式くん、あなたに友達をつくってほしいのです」 「そんなこと言われたって…今更できるわけないよ」 「心配ご無用です。私も協力しますから」 榊は自信に満ちた表情を見せる。自分にまかせておけといわんばかりだ。 「というわけで、さっそく提案があるのですが」 「え?それって一体何?」 「それは……これです」 そういって榊はひとつのポスターを見せつける。 「ミステリー研究会による合宿開催?」 「そうです。この合宿は誰でも参加OKみたいです。私と一緒に参加して、友達をつくりましょう」 榊は目を光らせながら言った。 「それって榊さんが行きたいだけなんじゃないの?」 「否定はしません。実は私はミステリーが大好きでして。ですが一人で参加というのも寂しい気がしますから」 要するに、俺をだしにして興味本位で参加してみたかったのか、と式は思った。 「で、もちろん行きますよね?」 有無を言わさない強い口調で榊は言った。 どうやら断るのは難しそうだな、と式は観念した。 「わかったよ……。それで、いつ行くことになってるの?」 「今週の土日ですね。今日の放課後にミステリー研究会の部室に行ってみましょう。では私は席に戻りますね」 そういって、榊は式の前の席に座った。 「……前の席だったんだね」 「今まで気づいていなかったのですか?」 そう言われれば名前の順は榊さんの次だったな、と式は思いだした。
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