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旅館に戻る途中、森林の山道で悲鳴が響き渡る。
「きゃあっ!」
何事かと式が振り向くと、沖田が地面に倒れていた。どうやら転んでしまったようだ。
「だ、大丈夫ですか?沖田先輩」
「う、うん。何とか…痛っ!」
沖田が足を抑える。挫いてしまったのだろうか。
「足挫いちゃったんですか?」
「そ、そうみたい。いたたた」
「大丈夫?歩けるの?」
吉野も心配そうに駆け寄る。
「うーん。ちょっと無理かも」
沖田はなんとか立ち上がろうとするが、ふらふらしてしまい非常に危険だ。
「困ったわねえ。誰かにおぶってもらいましょうか」
「それなら俺が…」
「式くんがおぶってくれるそうですよ」
松田が名乗りをあげたが、榊に遮られてしまった。
「え!?俺が?」
「ええ。大丈夫でしょう?」
そういって榊は式に目配せをする。
(そうか。沖田先輩とコミュニケーションをとれっていうんだな)
式は、榊の意図を理解した。
「わかりました。俺が背負いますよ」
「ほんと?ありがとー」
式はしゃがみ、沖田を背負った。
「お、軽いですね」
「そうでしょ?この体重を維持するのは難しいんだよ~」
この軽さだと45kgくらいだろうか。女子高生の平均体重が52kgくらいだから確かにこの体重を維持するのは難しいのだろう。
「旅館まで15分くらいだし、これなら大丈夫ですね」
「では戻りましょうか」
少しトラブルはあったが、式たちは無事旅館に戻ることができた。
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