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食堂には、伊藤がいた。
「伊藤先輩だけですか?」
「ああ。松田は風呂に入ってて、吉野先輩は沖田を呼びにいったよ。佐倉先生は仲居さんと話をしていたぞ」
「会長は?」
「さあ。部屋にいるんじゃないか?まあとにかく二人とも適当に座れよ」
二人は適当に席についた。
「夕食は何でしょうね」
「俺は鼻がいいから当ててみるよ。…うーん、この匂いはお肉の焼ける匂いだ。だから夕食はステーキだと予想」
「それは楽しみですね。二つの意味で」
自信満々の式だが、果たして当たっているのだろうか。
しばらく時間が経つと、松田が食堂に来た。
「いやー、さっぱりした。やっぱ一番風呂は最高だな!」
「松田先輩、もうお風呂に入ったんですか?」
「汗かいちまったからな。風呂は気持ちよかったぜ」
次に来たのは、佐倉先生だった。
「あら、結構集まっているみたいね」
「先生、仲居さんと何の話をしていたんですか?」
「べ、別に何でもないのよ。ちょっとね」
その次は、吉野だった。
「あれ、沖田先輩は一緒じゃないんですか?」
「それが、呼んでも来ないのよ。お風呂にもいないし。もしかしたら寝てるかもしれないから後でご飯をもっていけばいいかなって思って」
最後に、神藤が食堂に来た。
「お、沖田以外は集まっているのか」
「沖田は寝てるみたいっすよ」
「そっか。じゃ先にいただくとするか」
そんな会話をしているうちに、料理が運ばれてきた。
「お待たせしました。こちらは鮎の塩焼きでございます」
料理が次々に運ばれてくるが、ステーキどころか、焼き肉さえ来なかった。
「どうやら式くんの鼻は悪いようですね」
榊がからかってくる。
式は恥をかいてしまった。
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