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放課後になり、式と榊はミステリー研究会の部室に向かった。
「部室はどこにあるの?」
「第二校舎の2階にあります」
この学校では、普通教室や特別教室、図書室など学校に備わっている基本的な施設は第一校舎という場所にあり、部室や倉庫などは第二校舎という場所にある。
「前から思ってたんだけどさ、完全学力主義って学校教育法とかに触れないのかな?」
「さあ……。私たちが気にしても仕方ないと思いますけど」
そんなことを話しているうちに、部室にたどり着いた。
「ここですね」
「とりあえず、入ってみようか」
式はドアにノックした。
「失礼します」
「失礼します」
二人は部室に入った。
「おや?誰かな?」
中から男の声が聞こえた。
背が高い男だ。180cm以上あるだろう。
「初めまして。私は榊刹那と申します。学年は一年です」
「俺は式十四郎っていいます。同じく一年です」
二人は自己紹介をした。
「私たちはこのポスターを見て合宿に参加してみたいな、と思い部室に来たのですが……」
「ああ、合宿参加申し込みか!」
男はうれしそうに言った。
「いやーよかったよ、もしかしたら新入部員が一人もこないんじゃないか、と思ってたんだ」
「私たち以外の新規参加者はいないのですか?」
「ああ。全くこないんだ」
式は部屋を見渡した。部室にはこの男一人しかいなかった。
「他に部員とかいないんですか?」
「いるよ。といっても俺を含めて5人しかいないけど」
ミステリー研究部ではなく、ミステリー研究会という名前からして同好会だろうとは思っていたが、やっぱり少ないんだな、と式は思った。
「たしか、部への昇格は10人以上でしたよね?」
「そうだよ。でも、俺はにぎやかなのはあまり好きではなくてね。部に昇格しなくてもいいって思ってるんだ」
にぎやかなのは好きじゃない、という気持ちには式も同感だ。
「まあとにかく、座ってくれよ。合宿についていろいろ話しておきたいこともあるしさ」
そういって男は式と榊を椅子に座らせた。
「ところで、私たちはまだあなたの名前を知らないのですが……」
「まだいってなかったっけ?俺の名前は神藤圭介。ミステリー研究会の会長で三年だよ」
と神藤は軽く自己紹介をした。
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