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「さて、合宿の詳細だが、まず宿についてだ。宿は山奥にあるいわくつきで有名なんだ。なんでも、人が相次いで死んでいったらしい」
「そんなところに俺たちは泊まるんですか……」
「そうだぞ。ミステリーファンなら一度は泊まってみたいと思わないか?」
そういいながら神藤は一枚の紙を出した。
「次に合宿の一連の流れだが、これを見てほしい」
その紙には、一日の流れが大まかに書かれていた。合宿は一泊二日で、朝7時に学校集合、そこから顧問の先生の車に乗って合宿場まで行くことになっている。
「顧問の先生って、誰なんですか?」
「佐倉先生だよ。先生もミステリーが好きみたいでね。顧問を引き受けてくれたんだ」
佐倉先生は30代前半の女性教師だ。科目は日本史と世界史を担当している。下の名前は司という。
「へー。意外ですね」
「佐倉先生の車に、私たち全員入るのですか?」
合宿に行くのはミステリー研究会のメンバーと式、榊、先生の計8人だ。
「心配いらないよ。先生はワゴン車を持っているから」
「それなら大丈夫そうですね」
榊は少しほっとした。自分たちが乗って迷惑にならないだろうか、と思ってたみたいだ。
「で、その紙を見ればわかると思うが、当日についても話しておく。服装は自由で持ち物は特になし。ただし、着替えは持ってきてくれ」
「わかりました」
「そして一番重要な話だが、この合宿の目的についてだ」
目的なんてあったのか、と式は驚く。
「この合宿の最大の目的は、他学年との交流だ。上級生、下級生とミステリーについていろいろ語り合い、仲良くなってほしいというわけだ」
「……」
「これで以上だ。他に知りたいことがあったら、アドレスを渡すからメールしてくれ」
しばらく待っても他の部員が来なかったので、今日はお開きとなった。
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