一章

2/6
前へ
/40ページ
次へ
翌朝、式が学校に行くと、すでに何人か集まっていた。 「来ましたか、式くん」 榊が式に話しかける。 式は榊の私服姿を見るのは初めてだった。 なんだか新鮮だなあと式は思った。 「こっちの人たちはミステリー研究会の人たち?」 「そうです。名前を聞いてきたらどうですか?」 榊にそういわれたので、式は名前を聞きに行った。 「初めまして。俺は式十四郎といいます」 「初めまして。私は沖田宏美。二年生です!よろしくねー!」 「よろしく頼むぜ。俺は松田雄二。同じく二年生だ」 「吉野貴子、三年生。よろしくね」 「俺は伊藤智弘、二年生だ。よろしく」 ミステリー研究会の部員と一通り自己紹介をした後、式は改めて部員達を観察した。 沖田宏美は、小柄な女性だ。自己紹介からして活発な印象を受けた。髪は茶色で、長さは首にかかるまである。いわゆるセミロングという髪型だ。 松田雄二は、髪は短く、筋肉質な体だ。見た感じだとスポーツが得意そうだ。爽やかな青年、といったところか。 吉野貴子は、沖田と同じく小柄な女性だが、妙に落ち着いた雰囲気が漂っている。髪の毛は黒く、長さは腰まである。 伊藤智弘は、中背中肉で目立ったところは特にない。いわゆる、どこにでもいるふつうの高校生、という感じだ。 そのような感想を抱いた式に、声がかけられる。 「私は自己紹介しなくて大丈夫かしら?」 急に声をかけられたので、式は驚いた。 「あ…佐倉先生」 「覚えていてくれてたみたいね」 佐倉先生はほっとしたような表情を見せる。そんなに物覚えが悪い印象があったのだろうか。 「あなた、学校にあまりこないから忘れちゃったかと思って」 式の心の中の疑問に、佐倉先生は答えた。 テレパシー能力でもあるのかよ、と式は思った。 「榊さんも、私のクラスに問題児が二人もいるって言ってたし、あなたがそのうちの一人なんでしょ?」 「え…?」 「式くんにはいってませんでしたね」 榊が話かけてくる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加