大嫌い

「あたし、あんたのことなんとも思ってないから、むしろ大嫌い」
「なんだよ、いきなり校舎裏に呼び出して、大嫌いって。俺、お前に告った覚えはねえぞ」
「なによ、とぼける気？　奈津美に聞いたんだから」
「知るか、とにかく、俺はお前のことなんて何とも思ってねえよ」
「なによ、幼馴染にそんな言い方ないでしょ」
「幼馴染だからお前に惚れてると思ったのか、漫画の読み過ぎじゃね」
「な、なによ、こっちは真剣に悩んで、友達のままの方がいいかなと思って大嫌いって言おうと決めたのに。ひとの苦悩を漫画の飲み過ぎとかひどいんじゃない」
「なんだよ、好きだと告った覚えのない相手からいきなり、大嫌いと言われた俺の方がひどいだろ」
「もう、いい、あんたなんか絶交よ」
「はいはい、分かったよ、お前の絶交ってこれで何回目だ」
「今度こそ、本気だからね」
「めんどくせぇ女だな」