第壱章「入部試験」

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「川に向かって直進。恐らく川に着いたら撃って来るだろうから川の直前の森まで行ったら停止。瀬奈さん。森から出ないで。河原に出たらいい的だからね」 「りょ、了解です!!」 んーまだ瀬奈さんはガチガチだね。 「大丈夫。力抜いて。負けてもみんなの所為じゃないよ私の所為だからね。そうだ。後でなんか奢るよ。だから頑張って」 「はい!!」 瀬奈さんにそう言うと少し安心出来たのか表情が良くなって来た。 「よし。まぁやれる事をやろうね」 ハッチを開け外に身を乗り出す。こっちの方が状況わかりやすいしね。 古いカールツァイスの双眼鏡を取り出し山の方を見る。 「んー上手く隠れてるのか、それとも私のアテが外れたか」 「間も無く川です!!」 「戦車停止。停止後、山腹へ向けて発砲。その後川を沿って退却。みんな待ち伏せに良さそうな場所知らない?」 「このまま森の中を行くのがいいかと。その先に廃屋があります。ただ廃屋まで行くには木のない平地を通らないといけません」 山縣さんが照準から目を離さないままそう言う。 「うわぁ。どん詰まりか。まぁ仕方ないよね。よし平地で迎え討つ。照準つけなくていいから中腹辺りに1発お願い」 「ですが、先輩方には見つかってしまうのでは?」 「見つかる為の斉射だから。さぁここが勝負どころだ」
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