第壱章「入部試験」

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「だそうですよ。部長?」 「ふぇぇ……。お金あるかなぁ?」 振り返るると少し涙目な薄幸そうな金髪に青い瞳の小柄の女性が立っていた。 「あ、部長。こちら転入生の池田夜宵です。夜宵。こちらウチのキャプテンやってるクロエ・ルノアール先輩」 「今度こちらの学校に転入させていただく事になった池田夜宵です。あの失礼ですがキャプテンはフランスの方ですか?」 「うん。父がフランス人なの。池田さん。よろしくね」 ルノアール先輩がぺこりと私に頭を下げる。 「先輩。彼女。池田流戦車道の家元らしいですよ」 「い、家元? 凄い人なの?」 先輩。ビクビクし過ぎ。私そんなに怖いかな? 「さっき練習試合やったんですが、負けちゃいました」 「えぇ!?」 ルノアール先輩が大袈裟な程驚く。 「偶々ですよ。偶々」 ギア壊れなきゃなぁ……。 「咲綺ちょっと」 「何?」 「(いや、気になったんだけどさ、あのルノアール先輩。ホントにキャプテン?)」 「(うん。言うと思った。でも一応キャプテンだよ。良い人だし)」 「(いや、良い人なのは見てればわかるけど、統率力なさそうじゃない?)」 「(それ一番先輩気にしてるんだから言っちゃダメだからね)」 うん。まぁ。多分そう言うタイプよね。この人。
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