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「ずっと一緒だぞ!おれから離れるな!お前は、おれが守るから。」
初めての口づけ。乱暴な口調だけど、優しい男の子。
この日、幼かった私の記憶から彼が消えた。
いつも、一緒だった。周りに馴染めない私にとって、彼が唯一の存在だった。大好きな彼といる時間は、私にとって安らぎで幸せなとても楽しい時間。
「おい、早く来いよ!」
「待ってよ!○○ちゃん。」
「ホント、どんくせーなー。とぶから、しっかりつかまってろよ。」
「すごーい、わたしもとんでるー。○○ちゃんだいすき!」
「おい! バカなこと言ってないで、しっかりつかまってろ!!」
耳まで真っ赤な、照れる彼の後ろ姿が大好きだった。
乱暴な言葉とは裏腹にいつも待ってくれる、いつも隣にいてくれて、私が泣くとずっと頭をなでてくれる優しい手。
私をおぶってくれてた大きく見えた背中。
いつも、彼が振り向く瞬間、目が覚める。
それが、夢なのか現実なのか目覚めた瞬間は不思議な感覚に襲われる。
そんな夢が毎晩続いていた頃、私は父方の祖父に引き取られる事になった。
父も母も幼い頃に亡くなり幼い頃は、父方の祖父母と暮らしていたが身体が弱った私は大きな病院に近い都会の母方の親戚の所に。
色んな事があった結果、また父方の祖父母元に戻る事になった。
小学4年生までいた地だが、断片的にしか思い出せない。
大きな森にどこまでも続く獣道、その森の真ん中に立つ神社が父方の祖父母の家だ。
森を出るのに30分はかかるこの神社に訪れる人は少なく、何故こんな所に神社があるのか分からない。
でも、私はこの場所が嫌いではない。また、不思議な感覚に襲われる。
「私、ここに住んでいたんだ、、、。」
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