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よくある話だ。
俊一は小さなため息を隠すように席についた。
幼い頃の彼女は、俊一の手を引いて、蝉とかを笑顔で捕まえて、毎日どろんこになって遊んでた。
まだ男子とか女子とか意識する前の時間。
男の子とか女の子とかを口では言うはするものの、その境界も曖昧で、一緒に遊んで楽しいか、楽しくないか。それだけだった。
それがいつからか、
男と女で別であると知る。
男で集まって、女で集まるものなんだと。
一緒に遊ぶことも自然と無くなり。
その泥んこまみれだった相手が
どんどん綺麗な女性に変わっていった。
ただそれだけだ。
そして、ただ幼い頃から見知っている。
幼馴染という関係性だけが、
取り残された俊一についてまわる。
周りから見れば羨ましいらしい。
確かに幼馴染じゃなくて、高校から出会ったんだったら、きっと彼女と関わることは無かっただろう。彼女は噂で出来上がったランキングにいつも上位にいる。
しかし幼馴染でなければ、
そうなんだ。程度の感想だけだっただろう。
それほどまでに彼女との距離は遠い。
いつからこんなに遠い存在になったんだろう。
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