昼休み 彼女が告白されている

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昼休み 彼女が告白されている

「なぁ、わざわざここで昼飯食べる意味ってあるの?」 「おっまえは馬鹿だなぁ~、賢いくせに馬鹿だ。ここでしかダメな理由がわからないだなんて。」 横井は大袈裟に目を閉じ首を振って見せた。 俊一はお弁当の蓋を開けながら 「そりゃあ屋上っていうなら、わかるけど。ここまで登るかな?」 と言った。 俊一と横井は屋上に出る階段の屋根にいた。 お弁当の中身を見ると、相変わらずそれぞれのおかずがぐちゃりと傾いていた。俊一は箸で元いたであろう場所に返してやる。 「瀬良はわかっちゃいないなぁ~。 ほら、この広く澄んだ青い空! な? 青い空と書いて、青春って読むだろ?」 澄んだ空に横井の声が響いた。 その雰囲気に飲まれそうになるが、いやいや 「……いや、それは青い春だろ。」 横井は自分の失敗に気付き固まった。 「……………優等生は細かいねぇ」 と、言いながらゴソゴソと双眼鏡を取り出し、ある一方向へ狙いを定めている。 「…………え。何してんの?」 「お子ちゃま俊ちゃんにはわかんないこと~」 うん。女子更衣室だろうな、そっちは。 俊一は目の前の奇行を冷ややかに見て見ぬフリしながら、もくもくと白米を口へと運んだ。横井とは空手部で一緒だ。こう見えて彼は部活とエロだけは熱心だ。 「お子ちゃま俊ちゃんもそろそろお年頃、見たいんだろ? ちょっと見せてやろうか?… やっぱダメー。」 ニヤけたドヤ顔。 どうやら見せてくれるという選択肢は用意されては無いらしい。双眼鏡を覗き込みながら、実況中継までしてくれている。 「奥さんが決まってるお前とは違って、 俺達一般人は候補者選びから始めなくちゃなんないからな。」 俊一は激しくむせた。 「誰が奥さんだよ!」 「え~、何焦ってんの~? 誰か特定の名前なんて俺出してませんけど〜 誰のこと想像した?」 と横井は俊一にニヤニヤして見せた。 「くっ…」 「けっけっけ。 ほんとからかいがいあるわ、毎回」 そう言ってまた双眼鏡を覗き込んだ。 ガチャ 扉が開く音がした。 屋上は基本立入禁止だ。 とっさにふたりは息を潜めて隠れた。 入って来たのはさっき頭に浮かんでしまったばかりの橘だった。 「お。噂をすれば奥さん登場~♪」 横井は橘に声を掛けようとしたが、 彼女の表情を見て思い止まったようだった。
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