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浜野につられてボケーっと白鳥を見ていた鈴木だったが、アブラゼミの声が突然とまった事で時間を確認した。
「……俺、そろそろ帰るかな。浜野はまだ白鳥さん見てく?」
「んー、お前が帰るなら俺も帰ろうかな。
……あれっ? 誰かプールに近づいてく」
陽炎がゆらゆらと立ち上るグラウンドを抜け、むっちりとした女生徒がプールに向かって歩いていた。
その女生徒が来た事を白鳥も気付き、プールサイドに上がってなにやら会話をしている。
ノートを鞄に入れながら鈴木がプールに目を向けた。
「あ、村部じゃん。
あいつ白鳥とめっちゃ仲いいんだよな。
同じクラスだぜ? おまえ村部の事知らんかった?」
「ムラべ? 初めて聞いた。
どこの席? 」
教室を振り返る浜野に、鈴木は廊下側でまだ鞄が置かれたままの机を指差した。
「クラスじゃ全っ然目立たないけどな。
なんか、すっげーオタクっぽいやつだぜ。
前にあいつの後ろ通ったら、何かのマンガ読んでたけど、男同士が抱き合ってるやつ見てたもん」
「うっそマジで! それってボーイズラヴってヤツじゃん!!
白鳥さんもそういうの好きなんかなあ……」
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