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村部の話で浜野の気分が落ちた。
帰り支度をする鈴木につられて、浜野も荷物を片付けはじめた。
そんな中鈴木が、いてて、と急に顔をしかめた。
「なに、どしたん?」
「いや、俺、バス通からチャリ通に変えただろ?
そうしたら太腿がすげえ太くなったんだよ。
したら股擦れ出来ちゃって、足の付け根のところが皮剥けてヒリヒリ痛えんだよ」
「うっそマジで。
股擦れってお相撲さんがなるヤツじゃん。どんだけ太腿デカくなってんだよ」
ゲラゲラ笑いながら浜野は「ちょっと見せてよ」と鈴木の足元にしゃがんだ。
「マジでただれてて痛えんだ。
見たらびっくりするぞ?」
ベルトをカチャカチャと外しズボンをずらしただけで鈴木は痛そうに顔をしかめる。
その顔を見上げつつ、浜野は鈴木の足の付け根を覗いた。
「うわぁ……マジで痛そうじゃん」
「だから痛いんだって。歩く度に擦れるし、場所が場所だけに、すげえ蒸れるんだよ」
想像以上の創傷に、浜野が顔をしかめた時。
教室の出入り口から声がした。
「う……嘘でしょ……!」
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