夢魅る人々

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(ここでしばらく休もう) 悪臭の放つ、個室が二部屋しかない、暗く、狭い空間。 それでも、外のよりは遥かにましだった。 なぜなら擦れ違う人々の姿が【愛梨に似た何か】と瓜二つで、気が狂いそうだった。 どうにか全てを幻覚だと思い込むことで、何とか正気を保っていられる。そんな状態だった。 「あまりにも、酷すぎる」 暗い個室に隠れ、一人嘆いた。 いままでに何度も幻覚を見てきたのだが、ここまで異常な幻覚を見るのは初めてだった。 恐らく、身体に残ったアルコールがそれを助長させているのだろう。と、半ば無理矢理に結論を出した僕は、アルコールが抜けるまで、ここに留まることにした。
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