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それでも最善を尽くそうとする僕は、アルコールを抜くために便器の濁った溜水を頭から突っ込んで一秒でも早くこの悪夢から逃れようと、懸命に啜り続けた。
身体が拒否反応を起こしそうになるが、それを我慢し、口に広がる吐き気を催促する独特な味に逆らう。
それでも、いっそう濃くなる気配と、何かを引きずる音。
そして、とうとう、その気配と音は、僕の隠れる個室の扉の前で止まった。
啜るのを中断し、音を殺す僕。
ゆっくりと、身体を低くし、扉下の隙間から、覗き込んだ。
そこには、水膨れと腫瘍でパンパンになり、裂けた肉の割目から、白米が無数に溢れて床を汚している最低の景色が広がっていた。
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