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その言葉に聞いて、僕は窓ガラスに映る自身の姿を改めて確認した。
一言で表すなら、悲惨、の一言。
汗だくの私服に無茶苦茶に走り続けたせいでいたるところに生傷ができ、それは雑木林を形振り構わず走り抜けた後のわんぱく小僧を彷彿とさせる姿であった。
普段、清潔感を漂わせる恰好を意識してきただけあって、いつも慌しい馴染みの店員でさえ、目を丸くさせて大人しくしていた。
「……この前の仕事が終わって、有給を頂いたんだ。」
「それは良いとして、なんで、その、……泣いているの?」
先程の幻覚による地獄のような世界から解放された反動なのか、僕はいつの間にか泣いていた。
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