8人が本棚に入れています
本棚に追加
「疲れが溜まっているようだから、勝手に蜂蜜を多くしたけど大丈夫?」
加えて、愛情も。
先程まで溝の底に沈んだ感情は消え失せ、僕の胃袋は歓喜を謳い、溢れ出る唾液を飲み込みながら、感想を述べた。
「凄く美味しそうだ。ありがとう愛梨」
素直に感謝の念を表すと、愛梨は段々と林檎のように顔を赤く染め、熟れ出した。
僕は気付かない素振りで、胡坐を組んで丸型机の席に座って至高の珈琲を一口含む。
蜂蜜特有の優しい甘さと、独特の香りが混ざり、心の芯から元気が溢れてくる感覚を堪能した。
続いてはトーストだ。
口に含むと、程よい噛み応えの中に、蜂蜜でふやけた柔らかい感触が不規則に強調しあう。
蜂蜜の甘さと、焦げた部分のほろ苦さが合さり、めりはりのある味を引き出していた。
最初のコメントを投稿しよう!