夢魅る人々

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愛梨に妹のことを伝えていない理由なのだが、遺伝的な要因が芽殖孤虫の感染率に関係しているのではないかと世間では噂になっていて、もし、僕の過去が明るみになったら愛梨がどのような反応をするのだろうかと考えてしまい、それがどうしても怖くて、過去を話すことを躊躇していた。 「ねえ、雷太。もし私の身体が芽殖孤虫の巣になっていたら、やっぱり軽蔑する?」 心を読んだかのように話題を振ってきた愛梨の言葉が、僕の内側を嫌な汗で濡らす。 偶然であるだろうが、肝を冷やした僕はいつものように愛梨が喜びそうな返事をするために、口を開く。 「しないよ。なんで軽蔑しなきゃいけないのさ。……寧ろ、逆さ。」 「逆?」
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